公開

平成から令和へと移り変わった2019年のGWは10連休となり、秋にはラグビーワールドカップ2019TM、年が明けた令和2年(2020)の夏には東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会、といったビッグイベントが続きます。観光のために日本国内を旅行することもあれば、海外へ行くことも、海外から日本を訪れることもあると思います。どこかへ観光に行けば経費が掛かります。交通費、食費、お土産代などさまざまです。一口に「観光」と言っても、経済的な側面ではいくつもの産業にまたがっています。ニュースでも観光の経済効果が取りざたされていますが、具体的には何をどのように算出しているのでしょうか。 今回は観光に関する資料と観光の経済的側面に関する資料を中心に集めました。観光とは何か、経済や地域にどのような影響があるのかについて考える際のご参考にしていただければと思います。

図書のとびら

紹介資料表紙 『観光経済学の原理と応用』
河村誠治 著 九州大学出版会 2004 請求記号:689NN/188(21705694) 書庫

本書では観光を経済事象として扱っています。観光の概念から、経済学の必要性、具体的な手法、地域振興、観光資源までの主題を網羅しています。第2章から第10章では、土産物や体験、旅行そのものなどの観光商品と、その需給、取引される価格や市場について分析方法を提示しています。第11章から第13章ではインバウンド・ツーリズム、観光振興や開発など、観光の現状や課題を指摘しています。

紹介資料表紙 『観光の思想と理論』
大橋昭一 著 文真堂 2010 請求記号:689/231 (22434997) 公開

海外におけるツーリズムと日本における観光の比較を踏まえつつ、観光とは何を指すのかについて言及し、観光の研究で対象とするものを明示しています。そのうえで、ツーリズムの社会発展の流れ、観光形態の分類(都市・周辺)、文化遺産とツーリズム、観光客の捉え方と満足の理論、社会関係資本、観光地振興、ライフサイクル論、社会の流動化についての考察を章ごとに論じています。

紹介資料表紙 『観光政策と観光立国推進基本法 第2版』
盛山正仁 著 エムエムコンサルティング 2011 請求記号:689.1/17 (22519177) 公開

観光という言葉と歴史の概略、定義にはじまり、日本での観光政策と観光立国推進基本法の経緯や背景を年代順に紹介しています。観光行政が1873年(明治6年)にはじまり、東京オリンピック前年の1963年(昭和38年)6月に観光基本法が成立、観光立国推進基本法は2006年(平成18年)12月に成立します。成立後に同法が影響を与えた観光政策や、観光の現状と今後の課題についても述べています。

紹介資料表紙 『観光文化と地元学』
井口貢 編著 古今書院 2011 請求記号:689.4/50 (22538797) 公開

観光の経済効果よりも地域の人々や文化に重きを置き、地元学という観点から考察しています。地域にある文化資源や観光資源を再認識して活用するこや、地元の人々と訪れる人々で交流することの重要性を唱えています。実例としては、滋賀県大津市、愛知県春日井市、遷都(平城京、平安京)、京都のおばんざい、奈良県の奈良町、石川県金沢市、三重県の伊賀上野、などの活動が取り上げられています。

紹介資料表紙 『観光ビジネス未来白書 2019年版』
加藤弘治 編著 同友館 2019 請求記号:689/223/2019(23059587)公開

観光ビジネス研究会が2009年度より発刊している、日本を含めた世界の観光事情と最新データの経済的な分析が集約された資料です。旅行者だけでなく、旅行業者、消費額、宿泊施設、交通、イベント、各施設、さまざまなツーリズム(スポーツ、IRなど)の調査結果の数値をグラフ化し、各分野ごとに現状の分析と今後の予測を行っています。巻末には観光に関するキーワードの索引がついています。(2009年版、2011年版~2018年版の所蔵あり)

雑誌のとびら

紹介資料表紙 「特集 震災復興と観光」 横尾健一郎
『社会教育』 『運輸と経済』運輸調査局 第72巻1号 通巻775号 2012年1月号p14-68 請求記号:Z680/505

震災後に被災地が行った取り組み事例に分析を加えた記事の特集です。「"被災地旅行"の可能性―旅行者の回復に向けた災害後の取り組み―(朝倉泉ほか、p45-53)」では、東日本大震災の復興の参考になると考えられる神戸市(阪神・淡路大地震)、雲仙温泉(雲仙普賢岳噴火)、洞爺湖温泉(有珠山の噴火)の震災後の取り組みを比較し、旅行者の回復傾向について分析しています。その他に、風評被害、地域再生に関する記事なども載せています。

紹介資料表紙 「地域研究 増加する訪日外国人旅行者 ―神奈川県を訪れた旅行者も2年連続で100万人を上回る―」 小泉司ほか
『かながわ経済情報』浜銀総合研究所 第877号 2第24巻8号 通巻298号 2014年8月号p2-10 請求記号:ZC/640

訪日外国人が増加しているなかで、神奈川県を訪れる旅行者も増加していることを示しています。観光庁の調査結果を基に、2013年の外国人旅行者で神奈川を訪れた人数は約116万人(都道府県で4位)という試算を出しています。旅行者の訪問目的、経済への影響、海外との比較(国際観光収入額、受入数など)、そしてさらなる旅行者獲得のために行われている取り組みを挙げています。

紹介資料表紙 「特集 インバウンド時代の観光振興財源」
『観光文化』 日本交通公社 第42巻3号 通巻238号 2018年7月号 p4-49 請求記号:Z689/510

観光地の自立的・持続的な財源の必要性、財源を確保するための手段について、海外や日本の事例と考察がまとめられています。「視座 観光振興財源の導入と活用に向けて(山田雄一、p43-49)」では特集の各記事を踏まえ、観光振興に必要な経営資源としてDM(デスティネーション・マネジメント)財源の活用について解説しています。

新聞のとびら

「脚光あびる国際観光政策 上」
読売新聞 朝刊 1963年9月9日 p2

「自由化時代を迎え"総合的な観光政策の樹立"ということが最近にわかに騒がれてきた。(中略)目標年次の昭和四十五年度にはわが国の観光収入(海外旅行受けとり)は、為替ベースで二憶六千万ドルで基準年次(昭和三十一-三十三年度)の十一倍に達するよう仕組んである。(中略)総理府の観光事業審議会(現在は観光政策審議会に改組)がさきに答申したところによると四十五年には百二十五万人(三十六年の五倍)の来訪者がないと勘定が合わなくなる。(中略)外客の消費額は三十六年には一億三千七百万ドルと推定されている(同年輸出貿易額の三%)。(後略)」

「社説 訪日客3000万人 さらに伸ばすには工夫が要る」
読売新聞 朝刊 2018年12月30日 p3

「増加する訪日客を円滑に受け入れられる環境を整えることが大切だ。訪日外国人旅行者が今年、初めて3000万人を超えた。この5年で3倍の急増ぶりである。(中略)訪日客の増加による「観光公害」も看過できない。京都や神奈川・鎌倉では電車、バスの混雑や交通渋滞で、住民生活に支障が出ている。マナーや生活習慣の違いも、各地であつれきを生んでいる。(中略)政府は来年1月7日、国際観光旅客税を導入する。(中略)19年度予算案では500億円の税収を見込んだ。(中略)新税を導入する以上、効果的に活用することが欠かせない。」

インターネットのとびら

国連世界観光機関(UNWTO)
https://unwto-ap.org/
国連世界観光機関は158ヵ国(2019年1月時点)が加盟している国連機関で、日本は1978年に加盟しました。ホームページの「資料・統計」の項目に、「UNWTO電子図書館(英語・フランス語・スペイン語表記のみ)」へのリンク、「ツーリズム・ハイライト」、「UNWTO刊行物日本語版」などの資料を見ることができます(有償資料もあり)。

国土交通省 観光庁
https://www.mlit.go.jp/kankocho/
観光庁は、2009年10月1日に国土交通省の外局として発足しました。ホームページに表示されている[統計情報・白書]のところに「統計情報」、「観光白書」、「政策評価」、「調査報告」の項目があります。「統計情報」では、旅行・観光消費動向調査の調査結果やリンク集、「調査報告」では過去(2019年10月現在では平成17~30年度分)の報告書等を公開しています。

観光経済ドットコム
https://www.kankokeizai.com/
週刊観光経済新聞を発行している観光経済新聞社が配信しているウェブサイトです。同社は社団法人日本専門新聞社協会に加盟しています。トップページの「ニュース」項目では観光地や観光行政の記事が、「特集・データ」の見出しのなかにある「アーカイブトップ」の項目では過去の記事(2019年10月現在では2004年以降)を読むことができます。