2018年11月23日にパリで開催された博覧会国際事務局(BIE)総会において、2025年の大阪での国際博覧会(登録博覧会)の開催が決定されました。万博は、博覧会国際事務局(BIE)の承認のもと、国際博覧会条約に基づき開催される国際博覧会で、登録博覧会(WorldExpo)と認定博覧会の2種類があります。日本では5回万博が開催されていますが、大阪での開催は、1970年の大阪万博からは55年ぶり2回目となります。また2005年愛知万博(愛・地球博)からは20年ぶりとなります。万博と日本の関係は、1867年パリ万博で徳川幕府ならびに薩摩、佐賀の両藩が参加出品し、1873年ウィーン万博で明治政府として初めて参加しています。以降、日本国内でも明治から平成にかけさまざまな博覧会が開催されています。
今回は、万博と日本との関わりに焦点をあて、日本の博覧会史や、戦中に立ち消えとなった「幻の万博」、神奈川で開催された博覧会資料など万博の情報を紹介します。
図書のとびら
『日本博覧会史』
山本光雄著 理想社 1970 請求記号:606.7/29(11501046) 県立書庫
1915年から国内外30に余る大小の博覧会事業に従事していた著者による、日本と関わりのある博覧会の歴史についての資料です。内国博覧会編では、概説を始め、第1回から第5回までの内国勧業博覧会の沿革や、万国博覧会の前駆として国内で開催された博覧会の概要、また博覧会の組織および運営について詳細な記録が記載されています。万国博覧会編では、概説のほか、日本が参加したウィーン万博以降の概要が説明されています。また日本万博の開催の経緯やEXPO'70(大阪万博)の概要も記載されています。巻末には、参考資料のほか所蔵館別に博覧会史料が一覧となっています。
『図説万国博覧会史』
吉田光邦編 思文閣出版 1985 請求記号:606.7S/75(12600086) 県立書庫
万国博研究論文集『万国博覧会の研究』思文閣出版(請求記号:606.7/76 県立書庫)の刊行に先立って出版された本書は、1851年のロンドン万博から1939年のロンドン万博までの会場図や絵図、白黒写真を各テーマに沿った解説とともに紹介しています。「日本のイメージの演出」のテーマではロンドン万博を見学する遣欧使節団のイラストや日本の文化を紹介する写真が掲載され、「日本館のエキゾチシズム」のテーマでは、ウィーン万博をはじめとする日本館に関するイラストや写真が収録されています。
『万博の歴史 大阪万博はなぜ最強たり得たのか』
平野暁臣著 小学館クリエイティブ 2016 請求記号:606.9/55(22910301) 県立公開
誕生から現在まで世界最大のリアルイベントとして生き続けた万博が、現在では凋落の一途をたどっていると著者は指摘しています。1851年第1回ロンドン万博から、1970年日本で開催され大成功を収めた大阪万博、その後の2015年ミラノ万博にいたるまでの万博の通史を、発展過程や直面した問題など万博の本質を紐解きながら述べています。今後の万博は再興していくのか、衰退してしまうのか、万博の未来への問題を提起しています。
『幻の万博 紀元二千六百年をめぐる博覧会のポリティクス』
暮沢剛巳ほか著 青弓社 2018 請求記号:606.91/36(23028301) 県立公開
日本で最初に開催されたのは大阪万博ですが、それまでに万博開催の計画が3度あがっていたようです。最初は、1890年の「亜細亜大博覧会」、次は1912年の日本大博覧会、そして3度目は1940年の「紀元二千六百年記念日本万国博覧会」です。この3度目の計画は、入場券の発売まですすみました。しかし日中戦争の長期化に伴う経済難に加え、国際連盟からの脱退による国際的孤立により「延期」(事実上の中止)へと追い込まれたことから「幻の万博」と呼ばれています。本書は、戦争が激化していく時代におけるドイツやイタリアそして植民地で開催(もしくは計画)された国内外の博覧会を比較対象としながら、「幻の万博」の姿を掘り起こしています。
かながわ資料のとびら
『復興記念 横濱大博覧會誌』
復興記念横浜大博覧会 編 復興横濱大博覽會 1936 請求記号:K60.1/7(50277169)
かながわ資料室書庫 常置
日本国内では明治期より「内国勧業博覧会」をはじめとする博覧会が開催されていました。横浜大博覧会は、関東大震災後において建物の大部分が倒壊、焼失した横浜市が主催となり、「復興を報告し、感謝の誠意を披歴するとともに、市の産業機能の拡充を強調して、世界の新たなる認識を要求し、以って前途の取引を繁昌せしめん」として、1935年に山下公園において2か月間開催された博覧会です。各県や満州・朝鮮・台湾の出品のほか、興業としてアメリカン・ロデオが一番の呼び物として人気を博したことが記録されています。
雑誌のとびら
開幕!日本万国博
『アサヒグラフ』 朝日新聞社 増刊1970年4月1日号通巻2412号 請求記号:Z051/10/70-2
1970年3月15日に開催された日本万国博覧会の特集号。開幕式をはじめとした開催当時の会場の様子や、訪れた人々のスナップ写真などが、グラフ誌ならではのカラー印刷で掲載されているほか、各パビリオンの制服をまとった案内役のインタビューも掲載されています。また、カメラマンやイラストレーターの「進歩と調和」をテーマとした作品や、司馬遼太郎の万博見物記「これはこれはとばかり千里山」や谷川俊太郎の万博の詩「幻の村」が寄稿されています。
来たれ!2025年万博
『週刊エコノミスト』 毎日新聞出版 臨時増刊2018年3/26号 第96巻第12号通巻4543号
請求記号:Z330.5/5
2018年11月のBIE総会での万博開催国決定に先駆けて、『週刊エコノミスト』の臨時増刊「Vol.5ザ・関西」として刊行されました。誘致にかかわる機関(政府、日本経済団体連合会、関西経済連合会、大阪府)の代表者へのインタビューや著名人の応援メッセージのほか、会場候補の大阪夢洲や関西圏の経済状況、誘致レースの刊行時点での状況などを知ることが出来ます。
視聴覚のとびら
公式長編記録映画 日本万国博
請求記号:DV23/コウシ(41238148) 2005年発売 音楽・映像コーナー 館内視聴のみ
昭和45年3月13日の大阪千里丘陵から、万博閉幕後までの大阪万国博覧会の記録映画のDVDです。製作費3億4千万円(当時)、参加スタッフ1万8千名、使用フィルム尺10万メートルの、約3時間にわたるのドキュメンタリーとなっています。ナレーション:石坂浩二、監督:谷口千吉、総プロデューサー:田口助太郎 (173分)
甦るオッペケペー 1900年パリ万博の川上一座
請求記号:CD50 1997年発売 音楽・映像コーナー公開
1900年フランスのパリ万博会場のひとつであるロイ・フラー座で、川上音二郎一座が伝統的な劇と即興芸などを披露して好評を博していました。川上音二郎一座は、このパリ滞在中にグラモフォン社の録音技師によって、オッペケペー節をはじめとする演芸を録音します。日本人の商業録音としては最古のものです。1995年にイギリスのEMIに残されていたレコードが発見され、CD化されました。 (58分14秒)
インターネットのとびら
Bureau International des Expositions: BIE
https://www.bie-paris.org/site/en/
国際博覧会の常設事務局で、申請の受付や承認などを行う国際組織のホームページです。表記は英語もしくはフランス語です。WORLD EXPOSのページでは、1851年の第1回ロンドン万博から、現在開催が決定している2025年の大阪万博までの各万博の概要などが掲載されています。
経済産業省 国際博覧会
http://www.meti.go.jp/policy/exhibition/index.html
国際博覧会の担当官庁である経済産業省のホームページ内の国際博覧会のページです。国内外の国際博覧会の最新情報を見ることが出来ます。また、「ご存知ですか?万博豆知識」として、国際博覧会の説明や、日本で開催された国際博覧会などを確認することができます。
万博記念公園
https://www.expo70-park.jp/
1970年の日本万国博覧会場跡地につくられた「万博記念公園」のホームページです。シンボルとなった太陽の塔や、当時のパビリオンのひとつである鉄鋼館がEXPO'70パビリオンとして残されています。「大阪万博」のページでは、日本万国博覧会の概要および準備から閉幕までの様子やポスターの写真のほか、当時118館あった各パビリオンの説明が掲載されています。