2018年(平成30)7月2日に落語家の桂歌丸師匠が逝去されました。81歳でした。
歌丸師匠は1936年横浜の真金町に生まれました。富士楼という廓を切り盛りする祖母の元で育った歌丸師匠は1951年5代目古今亭今輔に入門。のちに4代目桂米丸門下となります。1966年日本テレビ「笑点」スタート時から出演。1968年真打昇進。2004年からは落語芸術協会会長を務めました。2006年から2016年5月まで「笑点」で5代目司会者を務めます。2010年横浜にぎわい座2代目館長に就任します。
主な受賞歴は1989年6月 横浜市政100周年にて市民功労賞、1991年に横浜文化賞、1996年に神奈川文化賞、2005年芸術選奨文部科学大臣賞、2007年旭日小綬章などです。
歌丸師匠は生涯を真金町で暮らしました。地元を愛し、地元からも愛された師匠の人柄や芸術を、残された作品から偲びたいと思います。
かながわ資料のとびら
『歌丸極上人生』 祥伝社黄金文庫
桂歌丸著,山本進編集協力 祥伝社 2015 請求記号:K77.1/121 常置(60679750) かながわ資料室書庫
本書は、『極上歌丸ばなし』(うなぎ書房 2006年刊)に加筆・修正して文庫にしたものです。とくに、「笑点」にまつわる話「「笑点」五十年(二)」が加筆され、2011年に亡くなった立川談志 、2009年に亡くなった五代目三遊亭圓楽とのエピソードが紹介されています。
巻末資料として「真打昇進披露」、「おすわどん」、「桂歌丸 年譜」があります。
『極上歌丸ばなし』
桂歌丸著, 山本進編 うなぎ書房 2006 請求記号:K77.1/104 常置 (60460425) かながわ資料室書庫
本書では、幼少期の話から始まり、噺家となってからのさまざまなエピソードから、歌丸師匠がいかにして芸を磨き、今日にいたっているかがわかります。 最終章は愛好する釣りにまつわるエピソードや化石集めなどの趣味の話でまとめられています。
巻末資料として「真打昇進披露」、「おすわどん」、「桂歌丸独演会(三吉演芸場) 歌丸 演目リスト」、「桂歌丸 年譜」があります。
『恩返し 不死鳥ひとり語り』
桂歌丸著, 長井好弘編 中央公論新社 2012 請求記号:K77.1/114 常置 (60595683) かながわ資料室書庫
序章には「桂歌丸高座生活60周年の記念口上」が掲載され、 本編は60年に渡る噺家人生の中でのさまざまな落語や噺家仲間にまつわるエピソードを、噺家入門を果たした青春時代から綴っています。好きな釣りの話や、家族の事にも触れています。中盤に「特別公開 あたしのネタ帳」、巻末付録として口演速記「紺屋高尾」を収録しています。
本書は2011年7月27日~9月1日に読売新聞で連載された「時代の証言者たち」に加筆、修正したものです。
『座布団一枚! 桂歌丸のわが落語人生』
桂歌丸著 小学館 2010 請求記号:K77.1/115 常置 (60571361 ) かながわ資料室公開
第1章「遊廓での子ども時代」から第5章「生涯「落語道」」まで、数かずのエピソードが綴られています。中にはテレビ番組「笑点」にまつわるものも多くあります。また第4章の「横浜にぎわい座の開設、落語芸術協会の会長に」では、「野毛、ひいては横浜全体の活性化のため寄席を作りましょう」、と横浜市長に嘆願に出向いた話など、「横浜に再び寄席を」という歌丸師匠の熱い思いが伝わります。地元の三吉演芸場での独演会の話なども、地元を愛した歌丸師匠の姿を物語ります。
本書は2009年11月~12月に神奈川新聞で連載された「わが人生 桂歌丸」に加筆、訂正したものです。
雑誌のとびら
「桂歌丸師匠が語る 南っていいじゃん!」
『広報よこはま 南区版』 南区役所広報相談係 みなみNo.147 2010年1月号 p6~p7 請求記号:かながわ資料室書庫(ZC広報書架)
2010年1月の「広報みなみ・お正月特別企画」として行われたインタビュー記事です。南区の魅力、守っていきたい街の歴史、区民へのメッセージなどが語られています。
(この記事を加筆・再編集したものが、『写真で見る南区がたどった70年の軌跡/南区制70周年記念誌』(請求記号:K21.14/26 常置)に収録されています。)
視聴覚のとびら
CD 「桂歌丸名席集」 1~10
請求記号:CD56/ウタマ (41356098~41356189) 音楽・映像コーナー 公開
「にっかん飛切落語会」(注1)で収録された音源の中から、歌丸師匠本人が選んだCDシリーズ。 収録演目は「三年目」、「引越しの夢」、「竹の水仙」、「お化け長屋」、「万金丹」、「夢金」、「髪結新三」、「鍋草履」、「尻餅」、「質屋庫」、「厩火事」、「毛氈芝居」、「ねずみ」、「小言幸兵衛」、「お茶汲み」、「禁酒番屋」、「火焔太鼓」、「蒟蒻問答」、「お見立て」
ポニー・キャニオン 2018年発売
(注1)「にっかん飛切落語会」・・・1974年5代目三遊亭圓楽の提案で古典落語の普及と二ツ目の奨励を目的として誕生した、日刊スポーツ新聞社主催のホール落語会。2007年までの34年間334回開催されました。
CD 「真景累ケ淵」 1~5
請求記号:CD56/ウタマ (41259938~41259979) 音楽・映像コーナー 公開
三遊亭圓朝作の長編怪談噺。
各巻タイトルは1巻:深見新五郎、2巻:勘蔵の死、3巻:お累の自害、4巻:湯灌場から聖天山、5巻:お熊の懺悔。
2003年6月から10月の横浜にぎわい座(注2)にて収録。
テイチクレコ―ド 2006年発売
(注2)「横浜にぎわい座」・・・横浜にぎわい座は、落語、漫才など大衆芸能の専門施設として2002年(平成14)に野毛(桜木町)に開場しました。横浜市が建設し、公益財団法人横浜市芸術文化振興財団が運営しています。初代館長は玉置宏氏、2代目館長は桂歌丸師匠が務めました。
CD 「牡丹燈篭」 1~4
請求記号:CD56/ウタマ (41319088~41319112) <特典ディスク 請求記号:CD56/ウタマ (41319120 )> 音楽・映像コーナー 公開
三遊亭圓朝作の長編怪談噺。
各巻タイトルと収録日は、1巻:お露と新三郎(2006年7月6日)、2巻:お札はがし(2006年8月3日)、3巻:栗橋宿(2006年9月7日)、4巻:関口屋のゆすり(2006年10月5日)。すべて 横浜にぎわい座にて収録。
「特典ディスク「牡丹燈籠」通し公演記念対談 桂歌丸・玉置宏」は歌丸師匠と横浜にぎわい座の初代館長である玉置宏氏の対談を収録。
テイチクエンタテインメント 2006年発売
DVD 「古典落語名作選」3
請求記号:DV77/コテン 常置 (41267410 ) 音楽・映像コーナー 公開 <館内視聴のみ。貸出できません。>
収録演目は、薮入り/三遊亭金馬(三代目),浮世床/三遊亭円遊(四代目),中村仲蔵/林家正蔵(八代目),お化け長屋/桂歌丸。歌丸師匠の「お化け長屋」は1989年(平成元)6月23日放送の「お笑い指定席」のものです。
NHKソフトウェア 2002年発売
(「お化け長屋」はビデオ(VHS)の所蔵もあります。(請求記号:VT77/コテン))
ビデオ(VHS)「昭和名人芸大全 5 五日目 珍芸・奇芸・ビックリ芸」
請求記号:VT77/シヨウ (41110446) 音楽・映像書庫
ものまねや中国手品などに交じって「化粧術」を桂歌丸師匠が披露しています。噺家余芸としての形態模写である女性の所作を演じています。遊廓に育ち、化粧品セールスマンの経験もある歌丸師匠ならではの芸といえます。
NHKソフトウェア 1999年発売
<このほかにも歌丸師匠の落語を録音したCDの所蔵があります。>
インターネットのとびら
公益社団法人 落語芸術協会
https://www.geikyo.com/
2004年から桂歌丸師匠が会長を務めていた、芸能実演家団体のホームページ。200名を超える協会員が所属。公演スケジュールや協会員プロフィール、演芸場紹介などのほかに、「落語はじめの一歩」と題して「落語ってなに」、「寄席に行こう」など初心者に向けたページがあり、演目や用語などをわかりやすく解説しています。
7月10日現在、歌丸師匠の訃報記事が掲載され略歴や受賞歴を見ることができます。