『「女子」という呪い』 雨宮処凛著 集英社 2018年
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平成27年にかながわ女性センターが移転することに伴い、所蔵していた資料が県立図書館に移管されました。引き続き関連資料を収集・整備しており、女性関連資料室で閲覧できます。
私はジェンダーの問題にさほど関心はありませんが、タイトルに惹かれてこの本を手に取りました。
この本は「女性」のあるべき姿、理想とされている固定観念的な女性像を強要され、自分らしく、あるがままの姿で生きられない女性の苦しい立場、生きづらさの問題点や解決のヒントを探るエッセイ集です。
文中には著者の体験談や関連書籍から引用した事例が多く書かれていて、いろんなパターンの生きづらさを感じるシチュエーションに触れることができます。
あるお坊さんは法事で人間は平等だと説くけれど、話が終わると女性は慌ただしく食事の準備をし、男性はその場に座り込み注がれるビールを飲み始める...話をした直後に目の前で繰り広げられる男女不平等の現場の話には失礼ながら少し笑えたりします。
著者は何度も「なんか違和感を持ったら、性別を入れ替えてみる。そうすると非対称性が明らかになり、きっと多くの人に新鮮な気づきを与えるだろう」と言っています。
「女子力」という言葉はあるけど「男子力」とは言わない、「女性の活躍」はよく聞くけど「男性の活躍」とは聞かない。今なにかもやもやした感情を抱いて、生きづらさを感じている女性にぜひ実践してみていただきたいです。そしてその感情が少しでも和らぐきっかけになればと思います。
最後には男性も同じような生きづらさを感じていることにも少し触れています。
いつの日か"男性""女性"という性別で見るのではく、一人の人間としてすべての人が生きやすい、自分らしく生きられる社会になる日が、少しずつでも来ることを願わずにはいられない一冊です。
(県立図書館:「雨女」という呪い)
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