公開

本の表紙画像(『動物たちのすごいワザを物理で解く』マティン・ドラー二著)突然ですが、モンハナシャコをご存じですか?オレンジ、ターコイズブルー、緑、赤と明るい色に彩られた、体長10センチ程の甲殻類です。しかし、その華やかな見た目からは想像もできない程の驚くべきパンチ力を持っています。
前から2番目の1対の足が、特別に強い「捕脚」といわれる構造になっていて、この捕脚の「肘」の部分を使ってモンハナシャコは大好きなカニの硬い殻を割ります。その力は自分の体重の1000倍以上、獲物にぶつかる前には時速80キロを超すスピードになるといわれています。そして、さらなる物理現象も同時に使うことで、モンハナシャコは自分の体重の約2500倍もの力を及ぼすことができるのです。

わずか10センチ程の派手なシャコが、目にもとまらぬ速さで驚異的なパンチ、そして肘鉄をくり出す姿を想像すると、なんともおかしな光景に思えますが、その破壊力はものすごいものがあります。

本書では、動物達が生存するためにどのように物理を使うかが、ユーモアとジョークを交えて解りやすく説明されています。このモンハナシャコの他にも、地面を伝わる振動を使って危険を感知するゾウ、赤外線を感じることで自分の周りの状況を知ることができるガラガラヘビ等々、動物達のすごいワザが登場します。

紹介されている動物達はもちろん物理のことなどわからず、意識せずに行動しています。私たちもきっと日常の中で知らず知らずのうちに物理を利用しているのでしょう。そう思うと、難しいものだと決めつけていた物理も、少し身近に感じることができます。そして動物たちのすごいワザを知り、今までとは違った見方で動物たちをみることができる気がします。

『動物たちのすごいワザを物理で解く』 マティン・ドラー二著 インターシフト 2018年
資料番号:23007040 請求記号:481.78/31 OPAC検索

(県立図書館:テッポウウオを飼う)