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私のオススメ本
『ナチスから図書館を守った人たち』 デイヴィッド・E・フィッシュマン著 羽田詩津子訳 原書房 2019年 資料番号:23057763 請求番号:238.84/5 OPAC
あなたは、生か死か、絶体絶命のときに、1つだけ持ち出していいと言われたとしたら、何を持っていきますか。お金ですか、食糧ですか、衣類ですか。
本書は、ナチス・ドイツに占領されたリトアニアの首都ヴィルナ(現在のヴィリニュス)でナチスに迫害されたユダヤ人たちが、ユダヤ民族の文化を守り、次世代に継承していこうとして命懸けで奮闘する姿を描いたノンフィクションです。
聖書によると、神が最初のユダヤ人アブラハムをお創りになったとき、「人生の旅のために彼にふたつの贈り物をした。ひとつは本で、もうひとつは剣だった。アブラハムは本を読むことにすっかり魅了され、手から剣が滑り落ちたことにも気づかなかった。その瞬間から、ユダヤ人は本を好む民族になった。」とあります。本が好きといっても、生命の危険に遭遇しながらも、本を守ろうとしたのは、強い使命感があったからでしょうか。
ゲットー図書館はただ開館しているだけでなく、人気が高かったといえます。大量の検挙が行われると、図書の貸出し数が急上昇します。一日390冊くらいが貸出されたそうです。読書は、現実に対処し、平静さをとりもどす手段でした。
本とは、図書館とは、自分にとってどんな意味があるのかをあらためて考えさせられる著書です。一読をして、本を守るために闘った人々の苦労の歴史を知っていただければと思います。
(県立図書館員:青空をはばたきたい)