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ワーグナーのレコードたち 2018年10月31日(水曜日)に、レコード鑑賞会「ワーグナーと文豪 明治のワグネリアンたち」を開催しました。定員を超えた、たくさんの方々にご応募いただきまして大変うれしく思っております。

今年は明治150年、ということで明治時代に絡めたテーマを設定しました。西洋音楽が日本に流入しはじめたこの時代、明治の文豪たちが最も夢中になった音楽家がワーグナーであったと言われています。この時代は、日本に大規模なオーケストラなどありませんでしたが、文豪たちは留学先でワーグナーの楽曲に触れていました。

ドイツに留学した森鴎外は、本場で「タンホイザー」「さまよえるオランダ人」等のオペラを鑑賞しました。その際、鴎外はオペラの台本に熱心な書き込みを残しています。
また、同じくドイツを中心に留学した姉崎嘲風は、留学先でワーグナーの「ニーベルングの指輪」「タンホイザー」を聴いて感激し、親友の高山樗牛に、「ワグネルの楽劇は、真の哲学にして又宗教、之故に又真の美術なり」と論じた書簡を送っています。これが当時の言論界での有力誌『太陽』に掲載され、読者の間で反響を呼びました。こうして明治の文豪たちにワーグナーの名はたちまち知れ渡っていったのです。

今回のレコード鑑賞会は、明治の文豪たちが魅せられたワーグナーの楽曲から7曲、ご鑑賞いただきました。一般的なワーグナーのイメージを表す音楽として有名な「ワルキューレの騎行」をはじめ、ワーグナー唯一の喜劇である「ローエングリン」等、選曲については好評で、みなさまそれぞれ楽しまれていたご様子でした。 指揮者やオーケストラについても詳しく知りたかったというご意見もいただきまして、次回に活かせたらと思っております。

会場には当講座で使用したタンノイスピーカーに加え、新たにご寄贈いただいた寺垣武スピーカーも並んでおり、入室されると、みなさまスピーカーに目を奪われていました。
来年、1月25日(金曜日)には「寺垣武オーディオの魅力―レコード鑑賞&オーディオ解説―」と題して、タンノイスピーカーとの聴き比べを交えながらレコード鑑賞とオーディオ解説を企画しております。こちらの講座もぜひお申込みくださいね。

(情報整備課:講座担当)