四、万葉から近代へ―川崎・横浜
多摩川」は相模国と武蔵国の境です。
次の歌は、武蔵野国の防人の妻が詠んだ歌です。
多摩川にさらす手づくりさらさらに
何そこのこのここだかなしき
(万葉集巻十四 3373 よみびとしらず)
【意味】
多摩川にさらす手作りの布のように、さらにさらに
どうしてこの子がこれほどいとしいのだろう。
このあたりはとくに馬と密接な関係があったようです。徒歩で行かねばならない夫を案じる歌なのですが、その夫はいまの小田急沿いを南下して、 当時相模の国府があったとされる海老名のあたりまで向かうのです。また、この横山を西から越えて多摩川を渡ると、 隣国武蔵の国府に達していました。今と変わらず、多摩川付近は国境の景色であったのかもしれません。
赤駒を山野に放し捕りかにて
多摩の横山徒歩ゆかやらむ
(万葉集巻二十 4417
宇遅部黒女(うぢべのくろめ))
【意味】
赤駒を山野の中に放牧して捕えられず、夫に 多摩の横山を歩かせてしまうのだろう
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