公開

本の表紙画像 『女の子は本当にピンクが好きなのか Think PINK』堀越英美著.jpg「あなたはピンクが好きですか?それとも嫌い?」
突然投げかけられた問いに、あなたならどう答えますか?

「女の子」をとっくに卒業した私中年女性が何を今さら、とも思いましたが、子どもの頃からピンクにはほとんど縁がなく、かろうじてバブル期絶頂のショッキングピンクのシャネル風スーツくらいでしょうか。しかしながら、2000年生まれの娘は、パステルピンクの大洪水の中で育ちました。大型玩具店の女児コーナーはピンクのおままごと、手芸、クッキング、美容のおもちゃであふれかえり、プリキュアやディズニープリンセスなどピンクをベースにしたキャラクターグッズが爆発的に売れていました。

ピンクがそのように女児のものとなったのは日本では欧米よりも遅く、ピンク・レディが登場したことがきっかけだったようです。昔の日本ではピンクにいかがわしいイメージがありました。女の子といえば、ハローキティやキャンディ・キャンディのような赤と白の組み合わせが主流でした。ピンク・レディーも最初はお色気路線でしたが、小学生からお年寄りまでの国民的スターになると、古いイメージは払拭されてしまったようです。そして、1990年代後半になって、原宿の女子高生へのリサーチがもとで、サンリオがハローキティのベースカラーをピンクに替えたことが発端となり、2000年以降、女児向けの製品はほとんどがピンク一色になっていくのです。

本書では、女の子は先天的にピンクが好きなのか、それとも後天的なものか、という問いとともに、女児のピンク玩具への反撃として、欧米でのカラーカテゴリーの廃止や女児玩具のSTEM(理系)化ブームが紹介されています。また、女性の仕事、職種がホワイトカラー・ブルーカラーになぞらえて、ピンクカラーと呼ばれることや、日本社会において女性がなかなかそのピンクカラーから抜け出せない理由などについても言及しています。ピンクという色が好きにしろ嫌いにしろ、次の世代の女子教育について考えさせられる1冊です。

『女の子は本当にピンクが好きなのか Think PINK』 堀越英美著 Pヴァイン 2016年
資料番号:22877310 請求記号:367.1/245 OPAC検索

(県立図書館:わたしはモモレンジャー)