公開

調査中の机の様子

「ウィキペディアタウン」というイベントをご存じですか? その地域(タウン)にある文化財や観光名所などの情報をインターネット上の百科事典「ウィキペディア」に掲載していく取り組みです。現在では、街に限定せず、ウィキペディアを編集するイベントを「ウィキペディアタウン」と呼び、さまざまなテーマで開催されています。
ウィキペディアは、「中立的な観点」「検証可能性」「独自研究は載せない」を三大方針としているそうです。検証可能な資料が沢山揃っている図書館は、ウィキペディアタウン開催会場にぴったりです。
ということで、県立図書館で「Wikipediaブンガク松本清張」を開催しました。ウィキペディアイベントは3月の「ひなまつり Wikipedia女性×かながわ」に続き、2回目です。今回は特別に、神奈川近代文学館とコラボ。特別展「巨星・松本清張」に合わせ、近代文学館展示も県立図書館資料も楽しもうという欲張り企画です。

4月21日日曜日。春の花が咲き乱れる港の見える丘公園を抜け、神奈川近代文学館に集合します。日程説明や簡単なガイダンスのあと、今回の特別展を担当された学芸員さんによるギャラリートーク。展示の見どころを、清張の人生や作品とともに紹介してくださいました。これだけでも、今回のイベント参加はお得感があります。この解説を伺ってからの展示観覧ですから、とても深いところを理解しながら観ることができました。
特別展で松本清張の人生を理解し、すっかりその世界に浸って、頭の中が清張一色になったところで、県立図書館へ移動です。

調査結果を執筆している様子県立図書館では、ウィキペディア執筆についてのレクチャーを受けてから、テーマごとに3つ、プラス初心者1つの計4テーブルに分かれて、調査・執筆を行いました。
松本清張は大作家。実は、ウィキペディアの記事もかなり完成されたものでしたので、書き込む余地がないのでは?という心配もありましたが、彼の作品『日本の黒い霧』『相模国愛甲郡中津村』を新規記事で、また松本清張ゆかりの藤井康栄さん(編集者。松本清張記念館名誉館長)の記事への加筆をすることができました。また、初心者のテーブルでは、出典がついていない部分を調査して出典をつけ、記事をより正確なものにすることができました。

各テーブルの皆様は夢中になって資料を調べ、執筆していらっしゃいました。休憩も取らず、一人として退屈そうにしている方は無く、会場は熱気に包まれていました。また、ご参加の方々の年代は広かったのですが、年代を超えてアドバイスし合ったりする交流もあり、和やかでもありました。

事前に県立図書館職員が準備した松本清張に関するありとあらゆる資料がブックトラック2台分に、ぎっしり並んでいる様子また、事前に調査・執筆の会場に松本清張に関するありとあらゆる資料を、県立図書館職員がご用意して参加者をお待ちしていました。全集、著作はもちろんのこと、評伝、清張論、昭和の雑誌などなど。北九州市立松本清張記念館が発行した雑誌『松本清張研究』も創刊準備号から揃っています。これには皆さまより、「さすがの資料充実」「資料群に圧倒されました」という感想をいただきました。ご用意した資料以外にも、ご質問にお応えして追加した資料もありました。その際にも「司書の方のセレクトが的確ですばらしい」と言っていただき、職員一同とても嬉しく感想をお聞きしました。

県立図書館では、ウィキペディア編集だけでなく、いつでも、豊富な資料を取り揃えて利用をお待ちしております。

(県立図書館図書課 講座担当)