みなさま、横須賀に行かれたことはありますか?
海軍カレーにネイビーバーガーといったご当地グルメから、海上自衛隊や米海軍基地の見学ツアー等々...。
そう、横須賀といえば「軍港」ですよね。
そんな軍港・横須賀のはじまりは、幕末・明治期にまで遡ります。安政7年(1860年)、幕府は日米修好通商条約の批准のため、アメリカに使節団を派遣しました。この時お目付として一緒に渡米した小栗上野介は、アメリカの工業技術を前に、「日本やばい!超出遅れてる!」と強いショックを受けます。そして「これじゃ欧米に対抗できない!これからは工業だ!まずは造船所づくりだ!」と強い熱意を抱き、帰国早々に造船所(横須賀製鉄所)の建設に着手しました。
横須賀製鉄所の建設にあたっては、フランスの援助のもと、当時の最先端の設備・技術が導入されました。これを機に日本の近代化が進み、横須賀はその最前線として急速に発展していきます。さらにその後、横須賀・長崎2か所の海軍提督府(のち鎮守府に改称)の設置が検討され、途中謎の迷走をするものの、明治17年(1884年)に横須賀鎮守府が誕生し、横須賀は海軍の最重要拠点となりました。
戦争に次ぐ戦争という激動の時代のなかで、軍港として整備されてきた横須賀。市内には今でも、往時を伝える施設が各所にのこされています。それらは同じく軍港として整備された呉市・佐世保市・舞鶴市とともに、「鎮守府 横須賀・呉・佐世保・舞鶴~日本近代化の躍動を体感できるまち~」として、平成28年、日本遺産に認定されました。登録文化財の多くは一般に公開され、近代を直に感じることができます。
今回の展示では、この横須賀の近代遺産について、自由に見学ができる文化財を中心に、簡単な解説パネルとともに関連資料を展示してご紹介しています。記念艦三笠復元時の設計図など貴重な資料も公開していますので、ぜひご来館ください。
掘れば掘るほど、知れば知るほど面白い近代横須賀の歴史。といって、なにぶんスペースが狭いため、展示ではごく浅く表面をなぞる程度の紹介になってしまいました。ですが、そこは知の拠点・図書館。横須賀の歴史に関する資料を取り揃えておりますので、もしこの展示で少しでもご興味を持っていただけましたら、ぜひ図書館の所蔵資料で、よりディープに調べてみてくださいね。
ちなみに、神奈川県内には横須賀を含めて現在4件の日本遺産があります。いずれ劣らぬ魅力ある歴史、こちらもぜひ調べてみてください。
【江戸庶民の信仰と行楽の地~巨大な木太刀を担いで「大山詣り」~】(伊勢原市)
【「いざ、鎌倉」 ~歴史と文化が描くモザイク画のまちへ~】(鎌倉市)
【旅人たちの足跡残る悠久の石畳道-箱根八里で辿る遥かな江戸の旅路】(小田原市,箱根町/静岡県三島市,函南町)
○添付画像データ
・『大日本帝國相模國横須賀造船所手引草』 請求記号:K55.31/2 資料番号:50275908 OPAC
・『記念艦三笠復元家具詳細図』(「三笠保存会関係資料4」所収) 請求記号:K39.31/36/4 資料番号:50696384 OPAC
(神奈川県立図書館 : 展示担当)
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