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講演の様子 2月9日土曜日にものづくりカフェを開催しました。
ものづくりカフェとは以前当館で行っていたサイエンスカフェと同様、科学者や技術者などの専門家と一般の方が、飲み物を片手に気軽に科学技術などの話題について語り合うもので、講演会でもシンポジウムでもない、新しいコミュニケーションの場です。川崎図書館では、2006年から開催し、川崎区で開催したサイエンスカフェの回数を含めると通算50回目の開催となりました。移転後にものづくりカフェと名称を変更し今回で2回目です。

講師は、東京理科大学栄誉教授・光触媒国際研究センター長・東京大学特別栄誉教授など数々の肩書をお持ちの藤嶋昭先生でした。藤嶋先生は、東京大学の大学院生であった1967年に、酸化チタンを使った「光触媒反応」を世界で初めて発見されました。以降、光触媒技術の研究では、文化勲章などたくさんの賞を受賞し、昨年は川崎市名誉市民章を受章されたばかりです。

当日は、あいにく雪が降ったりやんだりの悪天候でしたが、抽選で当選されたほぼ全員の方がご参加され、会場のカンファレンスルームはほとんど満席の状態でした。
先生もご講演の前に、会場で(当館がささやかに準備したインスタントのコーヒーや紅茶、ココアなど)飲みものを提供する場所から飲み物をお取りになり、その場にいた何名かの方と気軽にお話しをされていて、ものづくりカフェらしい和やかな雰囲気の中、定刻に始めることができました。
先生は、冒頭で「氷が水に浮かぶのはなぜか?」ということを丁寧にご説明され、南極の氷が海に浮かんでいる原理を教えてくださいました。更に水だけでなく、太陽や空など身の周りにある日常の中の科学の不思議を、歴代の著名な科学者たちに触れながら時にユーモアを交えてご説明され、光触媒反応を発見した当時の出来事、苦労話、最近の研究成果まで語ってくださいました。お話の間には、先生がご持参された本も回覧しました。

参加者の方々が、どんどん先生のお話に吸い込まれるように聞き入っている姿が印象的でした。後半の質疑応答では、ノーベル賞が与えられる様な基礎研究についての疑問、東京理科大学に通ったことのある方が大学構内で不思議に思ったこと、研究を行う家族への支援について、また大学や研究機関などの今後のあるべき姿についてなど多岐にわたる質問がありました。先生はどの質問にも熱心に回答されていましたが、その中の「私の研究方針はすべての人が天寿をまっとうすることに寄与すること。」という言葉には担当として大変感銘を受けました。

終了する頃は、雪もかなり降りだしていましたが、ものづくりカフェは大盛況の内に終了となりました。
藤嶋先生が館長をされている光触媒ミュージアムは図書館と同じKSP西棟の1階にありますが、この日、特別に開館して頂いたので、参加者の方は見学することができました。
ものづくりカフェは今後も開催を続けていく予定です。ぜひ機会を捉えてご参加ください。

(県立川崎図書館 企画情報課:ものづくりカフェ担当)