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講演中の様子 平成30年6月30日(土曜日)、「公文書からさぐる地名のふしぎ 神奈川の地名3」を開催しました。「神奈川の地名」をテーマにした講座は、一昨年度から始めて3回目を迎えた人気の講座です。平成27年に『神奈川県区市町村変遷総覧』を編纂された県立公文書館資料課長の齊藤達也氏を、今回も講師にお迎えしました。

講座では、1.神奈川県の変遷、2.町村の大合併、3.駅名となった市町村名、4.温泉にまつわる地名、5.復活した市町村名という内容で講演が行われました。
安政6年の神奈川港(現在の横浜港)の開港に伴う神奈川奉行所の設置に始まり、明治26年の多摩三郡の東京府への移管により現在の神奈川県の県域の決定に至る変遷の説明が行われました。次いで明治・昭和そして平成に全国的に行なわれた市町村合併について触れられ、明治21年当時、県内に1,052あった町村が現在は33市町村になった経緯を説明されました。

次に「~市駅」のように市町村名と同名の駅について調べたところ、全国では845駅、県内では市町村名・区名と同じ駅が31駅ある一方で、自治体名を冠した「~市駅」や「~町駅」という駅名は県内にはない、と紹介がされました。
そして「湯」「温泉」のつく市町村名に関しては、現在の山北町に編入された「湯触村」、箱根町に編入された「温泉村」などの珍しい地名が紹介されるとともに、箱根の「大地獄」・「小地獄」という地名が、明治天皇の明治6年8月箱根行幸を契機に「大湧谷」、「小湧谷」と太政官達により「字」の改称がされた珍しい事例であると紹介されました。
最後に明治期の市町村合併により町村名が消滅する一方で、その後復活した27事例が紹介され、地域住民の地名に対する関心の高さを垣間みた思いがしました。

資料展示の様子なお、会場の後方に講演内容に合わせて『神奈川県町村合併誌 上・下』(OPAC検索)、『明治天皇紀 第3』(OPAC検索)、『蘆乃湯村誌 明治19年』(OPAC検索)、『温泉村勢要覧 昭和11年度』(OPAC検索)等の所蔵資料を展示したところ、講座終了後に参加者の方々がご覧になっていました。

(県立図書館 調査閲覧課:講座担当)