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県立川崎図書館からのお知らせ

新年の挨拶(県立川崎図書館)

明けましておめでとうございます。

コロナ禍、先行きが見えない状況ではありますが、館員一同、皆様のお役に立てる図書館でありたいという強い思いでおります。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

今回は「静かなお正月」を過ごされた方が多いのではないかと思います。このご挨拶の中では少し海外旅行にお付き合い願えればと思います。
私の愛読書である「地球の歩き方」によれば、東ヨーロッパに位置するポーランドは「平原」という意味らしいです。
ポーランドからオーストリアへの夜行列車に乗り、国境付近で早朝、車窓から大平原を昇る日の出の美しさに感動していたのは、2年前のゴールデンウィーク、日本で元号が変わる日でした。
ポーランドへの旅の目的はアウシュビッツ博物館、一方オーストリアは趣向を変え、ホテル「ザッハー」で「ザッハートルテ」を食べることでした。世界遺産のシェーンブルン宮殿などの遺跡巡りはどちらかというと二の次でした。
想像を超えた巨大な宮殿を見学し、へとへとになった後の、「ザッハートルテ」とコーヒーの美味しかったこと!再び元気になってふらっと入ったのが、 ウィーン国立図書館、大広間という意味がある「プルンクザール」でした。約300年前にハプスブルク家の居城であるホーフブルク(王宮)の書庫として完成したものです。 実は世界一美しい図書館とも言われていることを後で知ったのですが、入った瞬間に知の空間にいる実感、知が迫ってくる不思議な経験をしました。20万冊もの蔵書に見降ろされているだけではなく、 バロック様式の建築、天井のフレスコ画、中央に位置するカール6世の像などの影響も大きかったと思います。

話は変わりますが、当館にも所蔵されている、火山学者である鎌田浩毅の著書『座右の古典』の中で、数学者 岡潔の『春宵十話』を紹介しています。 「頭で学問をするものだという一般の観念に対して、私は本当は情緒が中心になっているといいたい。」という岡の記述について「火山学者の私も、優れた発想やアイデアは、 落ち着いた気分のときでなければ生まれない。これはビジネスや行政の世界でも同じではないだろうか。新しい企画を出そうというときに、 心配事や悩みごとを抱えていては難しいだろう。「明日の頭を創る」には「今日の情緒」が必要なのである。」と述べています。

県立川崎図書館(ケンカワ)は移転してまだ3年も満たない図書館で、歴では「プルンクザール」の100分の一です。 天井のフレスコ画はありませんが、キャレル席では、いつでも美しい緑の木々を見ながら新しい企画を考えることもできます。 何と言っても26万冊もの工学、産業技術、自然科学分野の専門書や社史、特許・規格、専門誌に加えて電子ジャーナルもご覧いただけます。 ぜひこの知の空間に身を置いて、ゆったりと研究をしてください。将来、ノーベル賞受賞者が、ケンカワに入り浸っていたと、 授賞式でスピーチすることが初夢でなく、現実となるような図書館を目指したいと思っております。

利用者の皆様には、検温等でまだまだご利用に際し、ご不便をお掛けすることと思います。「多くの方のご来館をお待ちしています。」と声を大にして言える日を少しでも早く迎えるため、 これからも状況に応じ、しっかりと対策を行っていきたいと考えております。何よりも皆様が健康で、良き1年となることを願い、新年の挨拶とさせていただきます。

神奈川県立川崎図書館 館長 日比野典明


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